散歩道<5868>

                                  経済気象台(814)・民営化再び議論を


 商工組合中央金庫(商工中金)が、不正貸付の追加調査を続けている。
 不正は「危機対応融資」の制度で起こった。これは、景気の後退や災害などで業績の悪化した企業に貸し付ける制度だ。
 利用する企業は、売上減少などの実績を示す必要がある。だが、商工中金は自ら数値を改ざんして、企業が要件を満たすかのように装い、貸付した。現場が「ノルマ」を達成しようと、不正を働いたという。
 実はこの問題は、小泉政権当時の民営化の動きにからむ。構造改革により、商工中金は期限を定めて、完全民営化することに成っていた。しかし、内外の抵抗は強かった。
 そこにリーマン
ショックや東日本大震災が起きた。危機対応融資は政府系ならではの仕事と位置づけられ、商工中金も積極的に応じた。その効果もあってか、完全民営化は2015年の法改正で期限の明示が撤廃され、事実上棚上げされた。
 本当にこれで良かったのか。危機がされば仕事は減る。政府は、円高や原材料高を「危機」に追加し、制度の維持を図ったが、それでも対象企業は減り、ついに不正が起きた。
 そもそも危機対応は民間銀行にも担える。政府系金融機関がリスクを取れるのは、もし巨額の損失が生じれば、究極的には国が増資で対処するとの暗黙の前提があるからだろう。ならば危機時は、国が民間銀行に100%の信用保障をつければいい。その方が制度をやめる時も簡単だ。政府系金融機関の肥大化は、企業の新陳代謝を遅らせ、経済の活力をそぐ。危機時も「民間を活用する」仕組みが大事だ。民営化議論を再び始める時ではないか。
'17.6.29.朝日新聞  <検>経済気象台

備考:このような中小企業の生き延びる道が厳しい時には、民間企業の自由裁量幅の拡大と政府の大幅な応援は絶対必要だと考えます。