散歩道<5869>

                              経済気象台(815)・「真実の財務報告」と監査

 
2015年に発覚した東芝の不正会計は、過年度の有価証券報告書の訂正と会社および新日本監査法人に対する課徴金処分を持って、区切りがつけられたはずであった。その後、PWCあらた監査法人に交代したが、いまだに17年3月期決算に監査意見の表明がなされない異常な状態が続いている。
 米国子会社の買収により生じたのれんの評価について、東芝がいつ、どのような根拠によって減損の認識を持ったのかが問われているようである。しかし、その判断の適切性については、あくまでも経営判断の一環として、合理性が地割れるべきものである。
 そもそも、会計とは継続する企業活動の実態を描写するために、人為的に機関を区切って経営成績と財務状態を明らかにするプロセスだ。成果として財務諸表は「記録と慣習と判断の総合的表現」であって、単なる事実の記録ではない。会計基準によって認められた慣習的方法と経営者の主観的判断の所産であり、そこでの計算結果は暫定的なものとならざるを得ない。
 その意味で、企業会計で求められる真実な情報とは、絶対的な真実性ではなく、あくまでも幅のある相対的な真実性である点に留意すべきである。
 したがって、経営者も監査人も、認識時期については、見積もりや予測といった主観的な要素をも考慮しながら、合理的に判断することに心血を注ぐ必要がある。
 後知恵的な視点から、かっての判断の当否ないし適否を問うことは、かえって会計及び監査の信頼性をそぐことに成りかねない。一定の期間の中で適切な情報をもとに合理的な判断を行う事こそ、投資家保護に根差した監査なのではないか。'17.6.30.朝日新聞<検>経済気象台


備考:大企業には透明性がいつの時代でも求められる。'17.10.6.

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