散歩道<5802>

                                     経済気象台(799)・地政学的リスク

 金融市場で好んで使われる用語に「地政学的リスク」がある。おおむね、世界のある地域における軍事・政治紛争とそれらの脅威が金融市場に悪影響を与えるリスクという意味だ。最近では、シリアにおける科学兵器の使用とそれに対する米国のミサイル攻撃、北朝鮮による核とミサイル開発と米トランプ政権の対応などが懸念されてたびたび登場する。
 しかし、考えてみると不思議な用語である。英語の地政学ジオポリティクスのもともとの意味は、地理的環境がその国の政治や軍事に大きな影響を与えるというもので、それは国家の大戦略を考える枠組みであった。ところが、現在の金融市場では多くの場合、ある地域の「軍事紛糾のリスク」を「地政学的リスク」と言い換えているだけである。そう言い換えた所で何も説明していないし、新しい情報が加わるわけでもない。よく考えてみれば、多くの地域紛争が世界の株の利益等のファンダメンタルズ(基礎的条件)に与える影響は限られている。
 この用語は金融市場の変動制の高まりとそれへの不安と関係している。地政学的リスクという言葉が使われるようになったのは世紀の境目ぐらいからで、世界的な金融市場の変動制の高まりと同じ頃だ。世界的な金余り現象を受けて、世界の株価はわずかなきっかけで大きく動くようになっている。
 よくわからない株価の変動があった場合には、とりあえず「地政学的リスク」と言っておけば何かを説明した気分になり、少しは安心できる。それに加えて、最近の「地政学的リスクの高まり」には、それをあおることで支持率アップを期待する政権の思惑もあるのかもしれない。
 '17.5.10   <検>政治、 

備考:将来を予測する為、考えなくてはいけない必要な要素(数値)等、多数出てきた故、新しく作られた言葉ではないですか?

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