散歩道<5798>

                                        経済気象台
(795)・真の豊かさの実感を

  山梨県の清里フォトアートミュジアムで、ロベール・ドアノーの写真展を2年半前に見たときのこと。フランス人がアルプスでバカンスを楽しむ写真の説明に目が留まった。「1936年は、フランス人の生活を根底から変える年次有給休暇制度が法律として定められた年でもあった」
 富裕層の特権だったことが広く定着した経緯は、鈴木宏昌早稲田大学名誉教授の「フランスのバカンスと年次有給休暇」に詳しい。連続2週間の休暇が法律で付与されたことが、定着の起点になったのは確かなようだ。
 休暇かを週単位で考える欧州にたいし、日本は1日単位が一般的だ。長期休暇が普及しない一方で、通院などに便利なように、半日や1時間単位で取得できるようにもなった。しかしこれは進化なのだろうか。
 今月24日は、1回目のプレミアムフライデーだ。午後3時に早引けするのを奨励するとう。旗振り役の経済産業省は、「質よりも低価格が優先されるなかで、良質な商品・サービスから得られる『幸せ』や『豊かさ』を実感する機会が失われつつある」と、月末の金曜日の早引けで、買い物や外食など個人消費が喚起されることをもくろむ。
 ただ、あまのじゃくの私は別の提案をしたい。24日は早引けしても寄り道せずに、職場から真っすぐに帰宅したらどうか。子供たちも3時になったら下校し、クラブ活動や熟通いは休みにする。そして、家族そろって晩ごはんを食べる。これこそ、幸せや豊かさを実感する機会に成るのではないか。
 プレミアムフライデーは、先のフランスの施策とは比べようもないが、消費の喚起ではなく、せめて働き過ぎの生活様式を見直す機会としたい。
'17.2.18

備考:この話に、フランス人の日常生活やバカンスに楽しみ方や、余裕の時間に対して歴史の深さ、長さを感じた。

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