散歩道<5778>a
経済気象台(790)・理論の政治的利用やめよ
いまノーベル経済学賞を受賞したシムズ教授が提唱する「物価水準の財政理論」が脚光を浴びている。マイナス金利にまでなった金融政策は有効性を失い。物価水準を決めるのは財政政策だとする「シムズ理論」は、我が国の経済政策の指針として2%インフレが達成されるまで、財政再建や消費税増税を凍結すべきだという提言につながる。これまで財政出動をしてもインフレが醸成されないのは、政府が財政健全化を約束しているからだと批判する。
より具体的には、この理論は日本において先進国で最悪の財政赤字の実態を無視し、将来の増税や歳出削減を行わず財政赤字をインフレにより返済する「追加財政」をおこなうべきだとの主張になる。
シムズ理論は、デフレ脱却を目指し財政健全化より、財政出動をより好む安倍政権にとって、極めて魅力的なはずである。事実、これをこれからの政策指針にしようとする動きも、首相周辺でみられる。2019年10月に予定する消費税増税の3度目の延期を際立てる有力な理論的支柱になるのではと、懸念する声もある。だがこれは机上の空論であり一国の政策の現場で実現されるには余りに無責任な理論だと言えよう。
安倍首相は折に触れ、グルーマン教授等も呼んで盛んにその政策方針の正当性を強化しようとしてきた。日本の制度、慣行にあまり熟知しない海外の学者の権威を借り、その理論を自分に都合の良いように実施する政治手法は問題である。やはり一国の経済運営は、その国の制度に立脚し、過去の経験を生かし自国の責任において進めるべきである。外国からの直輸入の理論の安易な政治的利用は断固やめるべきである。 '17.4.26.朝日新聞 <検>政治
備考:この考えに賛成です。