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9.11.総選挙 若い世代へ・作家・高村薫氏・あなたの怒りが政治動かす。(2)
政治なんて面白ければいいというあなた。マニフェストを読めばそんなこといっていられなくなる。政治のあまりの八方美人ぶりに怒りの1つも湧いてくれば、あなたも1人前の社会人である。政治に期待するものはないというあなた。政治に期待しようがしまいが、たとえばあなたの未来に国・地方あわせて770兆円の借金がのしかかっていることを考えてみてほしい。これは増税や、行政サ-ビスの切り詰めというかたちで、必ずあなたが負うことになる負担である。この政治が担っているのは、内政課題では結局、この天文学的な借金の返済なのである。政治にできる事は少しでも痛みを軽くすることだけであり、どこにも近道や避難路はない。これが若いあなたの明日の現実である。それでも何とかなると思っているあなた。あなたがどんなに働いても、将来の人口減少と高齢化は国民総生産の縮小につながっていく。一方で、アジアでは巨大な人口を持つ中国、インドといった大国が台頭し、膨大な資源の消費が加速する。資源を持たない小さな日本は、外交力で何とか戦略的に生き延びてゆくほかないのであり、これもあなた一人の頑張りで立ちゆく問題ではない。いまこそ政治の時代なのである。この、とてつもなく困難な状況が、郵政民営化だの、年金改革だの、特定の課題1つを揚げて道が開けるといった単純な話でないことをよく考えてみてほしい。人口構成や産業構造を見据えて21世紀の国のあり方を考えるべき機会は、遅くとも冷戦が崩壊して世界経済がグロバル化した90年代前後にあったが、それを怠ったのは私の世代だった。国の債務は80年代初めにすでに膨らみつつあったが、それをここまで放置してきたのも私の世代だった。又、私の世代は政治とカネの問題も解決できなかった。若い世代は大いに怒るべきである。なぜなら、政治は現状への怒りが動かすものだから。ただし、あなたの怒りが政治的能動になるためには情緒を乗り越える必要があるし、再生は「ただぶっ壊す」ことではない。政治は個々のパーフォーマンスではない。政党が担う周到なシステムの世界であることを頭に叩き込んで、明日の政治を選んでほしい。2005年9月8日
'05.9.7..朝日新聞 <検>政治、
9.11.総選挙 若い世代へ・作家・高村薫氏
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