散歩道<5739>
経済気象台(767)・ 品質こそビジネスチャンス
先日北海道でワインづくりを目指している人たちの勉強会があった。壇上のフランス人講師は、北海道独自の気候風土に合った質の高いワインをつくろう、という力強い応援のメッセージを送った。「どうやれば、お金を掛けないでいい宣伝ができますか」という素朴な質問には間髪を入れず、「よい品質のものをつくることが、一番の宣伝です」と答えた。今、人に先んじてうまいことをやったもの勝ち、のような風潮がある。話題作りにSNSを効果的に使う。そんな側面での「相違工夫」やそれを助長するような傾向が目に付く。たべものが絶対的に備えていなければならない価値に、安全性と共に「品質」がある。質の高さを生産者が常に謙虚に追及していくこと、そのことが今の日本の農業に求められている姿勢だ。
生乳の「指定生産者団体制度」が批判される際、制度が農家の相違工夫を阻害しているという、最近お決まりのフレーズがある。だが、実態を見ると、制度の中でも酪農家はいい品質のものを生産すれば、より高い乳価を得ることが出来る。むしろ制度のおかげで、独自ブランドでの加工品の販売も可能となっている。品質向上による乳価の向上ではなく、抜け道的な利益を求めている人が、制度を批判している。だから、そこで流通する生乳は、質の高さよりも「うまいことやった」結果だ。国の根幹を」支える食料の生産を安定して担うのは、ビジネスチャンスを敏感にとらえることが出来る生産者ではない。良い品質を目指してこつこつと努力している農家の存続を脅かすような制度改革など、一体だれのための改革なのであろうか。16.10.21.朝日新聞 <検>経済気象台
備考:今、世に出てきているものには、大変な長期の基礎的な研究期間がその基になっていることを社会は忘れがちである、これらの分野は国の別予算としても30年ほどの年月の期間を掛け,見守っていく必要があると思う。