散歩道<5738>
経済気象台(766)・ニューノーマルからの脱出
「ニューノーマル」という言葉をよく聞く。世界経済は低成長、低インフレ、低金利を状態とする新たな時代に入ったようだ。理由は多々指摘されているが問題は世界がそこから抜け出すための手立てを見つけられないでいること。超金融緩和政策は金融危機後の信用不安を緩和したが、経済トレンドを押し上げることは出来なかった。財政による景気刺激を求める声は強いが、大きな財政赤字・政務債務という制約があり、効果の持続性にも疑問符が付く。多くの人が構造改革、成長戦略が重要だと主張する。しかし、そのモデルであったアメリカの生産性上昇率は急速に低下しており、、その理由もよくわかっていないのだから、過大な期待を寄せることは出来ない。考えてみれば日本経済は20年以上にわたって停滞が続き、ニューノーマルを先取りしていたといえる。そして、ゼロ金利や量的緩和等の金融緩和策、公共投資などの、財政刺激策、不良債権処理や規制緩和といった構造改革にもかかわらず、停滞は今も続く。これらを踏まえれば、ニューノーマルから脱出するための解は他にある。人への投資を成長戦略の柱として位置づけることだ。社会学者の柴田悠氏は、子育て支援の拡充が出世率の経済成長を引き上げるという。学校教育や職業訓練の充実は、イノベーションへの対応力を高める。基礎研究に励む研究者やスタッフを増やすことは新たなイノベーションを生み出す基盤となる。そして、長期安定雇用と賃金の確保は、縮小する中間層を取り戻し消費を増やす。ニューノーマル脱出の先導役たりうる経験と知恵が、日本にはある。
16.10.27.朝日新聞 <検>経済気象台
備考:短期・長期の両レンジで、総合的にあらゆる分野(環境・災害・自然・旅行・企業・教育・文化・スポーツ・若者・高齢者・交通・金融・自衛等)に渡り、対策をめぐらすのが必要だと思います。