散歩道<5723>
経済気象台(757)・ AIは逆風か追い風か
英オックスフオード大の研究者が2013年に公表した論文「雇用の未来」は、社会に衝撃を与えている。702職種がコンピューターに代替えされる確率を試算、AI(人工知能)の進展により、高度な専門的判断が求められる業務もその多くがコンピューターに代替えされるという。公認会計士の監査業務もその一つ。識者の中には会計帳簿の点検や関連資料の整合性検証の多くは、不正取引の事例をAIに学修させることで、虚偽内容を素早く見抜けると考えるものもいる。しかし、そもそも会計とは取引事実を正しく認識し、金額面での測定を行った結果を複式簿記の原理に従って記録し、その集約を財務諸表にして「認識」の不正をAIが的確に見極めることは至難の業である。というのも、会計基準の適用に際しては、将来見積もりなど経営者の主観的な判断が介在する場面も多く、同一の取引事実の認識で異なった測定と記録が容認されることもある。そうした主観的判断の総合的表現とされる財務諸表であるからこそ、独立の第三者である会計専門職業人である公認会計士の監査により、その信頼性を保証することが不可欠なのである。ただ、複雑かつ高度な判断が求められる取引案件は、従来以上に詳細かつ客観的な証拠を入手して、専門的な立場からの検証と判断を行うことが監査人に求められており、公認会計士の業務もそうした方向へ転換が求められている。監査人は人海戦術に近い定型的な検証業務の多くをAIに任せ、非定型的かつ主観的な判断の介在する内容の検証に多くの時間を費やせばいい。AIの進展は監査の品質向上に追い風となる。17.2.15.朝日新聞 <検>経済気象台
備考:ALの進展の可能性は製造技術の分野で、人知を超えた分野での活躍する楽しさは愉快である。