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幸福(1)・「モノ・トラウマ」の呪縛・生きることを楽しもう<2>
キーワールドで考える戦後60年を幸福(1)~(2)、アイデンティティー(1)~(2)、自由(1)~(2)を報告します。
「三種の神器」「田園調布に家が建つ」という言葉があったように、そのようにモノや家を獲得する事が戦後の日本人の幸福論の骨格だった。だが、イエ、モノを追い続けて家族や人間関係がおき去りにされた。80年に起きた「金属バット両親撲殺事件」それは、以降連綿と続く家族崩壊の発端だった。今日、家族の事件は幼児虐待まで深化している。こういう関係の衰弱は若者の言葉にも現れる。彼らの言葉や歌の歌詞は、たとえば平成の国民歌謡のようになった「世界で1つだけの花」のように、「愛」や「幸福」といったポジティブ言語の語彙が薄っぺら。逆に神戸の児童殺害事件からネットの「2ちゃんねる」に至るまで憎しみや恨み、中傷といったネガチブ言語の語彙に妙にリアリティーと厚みがある。しかし希望が見えないわけではない。きまじめな時代のゆり戻しというか昨今、一部の若者の感性や姿にラテン化傾向を感じる。「遊びをせんとや生まれけむ戯れせんとや生まれけん遊ぶ子どもの声聞けば我が身さえこそ揺るがれる」という言葉にもあるように、元来日本人はもっと肩の力を抜いて、おっとりと無為の中で遊ぶことの出来る民族だったように思う。モノではなく「生きることを楽しむ」ラテン気質に通じる幸福論を、日本人はもっていた。帰るべき場所はなくはない。
'05.8.16.朝日新聞、写真家藤原新也氏
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