散歩道<5701>                               596から移動

                幸福(1)「モノ・トラウマ」の呪縛・生きることを楽しもう<1>

         キーワールドで考える戦後60年を幸福(1)~(2)、アイデンティティー(1)~(2)、自由(1)~(2)を報告します。

 10年前「地球家族」(家族考古学)という本が出た、ごく平均的な家族のもちものを全部家の前に出してもらって写真を撮った。圧巻は日本の家族だ(2階建ての家)これほどのものが入るかと思うほどの膨大な量の家財が積み上げられる。無機質な工業製品が多い世界の皆が驚いた。ここまで物に執着してきた日本人とは、なんだろう。思いは焦土に行きついた。大空襲と原爆、世界でこれほど大規模に国土が焦土化した国は他にない。焦土の中の、衣食住の圧倒的な欠落、戦後日本は、その「モノ・トラウマ」を抱え込んで出発した。追い討ちをかけるように50年代アメリカの物質文明がなだれこんできた、(そんな状況を身をもって体験したのが、昭和28年九州を襲った大水害に、アメリカの子供達から救援物資が送られてきた、それは夢の世界のようだった)80年代にアメリカを旅してあのかっての不思議な出来事は何だったのか。氷解した、アメリカの生活製品というものは初期効果によるインパクトは強いが、すぐ忘れ去られるような仕掛けというか、宿命を持つ。捨てさせる為の大量生産品、使い捨ての、リサイクルではなくサイクルで成り立っている。そのことがよく表れているのが「ガレージ・セール」家財や持ち物を未練なくカレージに積み上げて三者の目にさらして、売り払う。これは日本人の感性では考えられない、生活行動だった。元来日本人はモノには自分の思いや秘めたる家族の歴史がこもっている、というアミニズム的完成が色濃く存在した戦後60年やがてあのアメリカのモノ感性と同じ感性が「フリーマーケット」という形で日本に再現される。それは、ヒトの思いがこもらないモノたちの消費サイクルの中にぼく達が投げ込まれている、ということの現れでもある。帰するところ、あの「地球家族」の中の一枚の証明写真となる。

'05.8.16.朝日新聞、写真家藤原新也氏

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