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               三者三論小泉政治を検証する・官僚の問題点明るみに  これから3回に渡り3人の意見を記述します

 次々に発覚する道路公団の談合や社会保険庁の根深い腐敗。膨張した閣僚機構の存在そのものがさまざまな汚職の温床になっているということが、小泉首相になってはっきり見えてきた。また、是までの「密室政治」的な側面も薄れて矛盾がそのまま露呈されるようになった。こうした問題点や矛盾の顕在化が小泉政治の成果の一つと言える。今回、小泉氏は「政権の維持よりも政策の実現」という姿勢で衆議院の解散・総選挙に打って出た。政策を一緒に進めることが出来る政治家が集まるのが本来の意味での政党だ。「権力が欲しい」という思いが先にたって政策はあいまいなまま妥協を重ねてきた明治以来の政党政治の弊害を断ち切ろうとする態度は評価できる。元々は自由民主党は55年に自由党と民主党が保守合同で誕生した政党だ。だが一口に「保守主義」といっても、そこはには保守的な国家主義とリベラルな保守主義が野合するという側面があったと私は考えている。今回の総選挙の結果いかんによるが、かりに小泉氏側が勝利を収め、この「野合体としての与党体制」の破壊が進んで自民党の体質が変わる所まででいけば後世の歴史家はその点をもっとも評価するのではないか、「郵政民営化だけが行なうべき緊急課題ではない」そんな意見もよく耳にするが、昔から「一内閣一課題」といわれてきた。佐藤内閣は沖縄返還、田中内閣は日中国交正常化、中曽根内閣は国鉄民営化だ。もし小泉内閣が郵政民営化を成し遂げるなら、それはそれで評価されるべきだろう。一つを突破すれば「その次」の展開が現実味をおびてくるからだ。小泉内閣の対米外交について「日本はアメリカの従属国か」と自虐的なことを言う人もある。だが、あれだけの圧倒的な軍事力と経済力を持つ国に対して、対等に文句をつける国は現実には存在しない。だからアメリカと協力しながらその中で自主的な面を拡大していくということが。日本の自立・独立を遂げる方向だと思う。その意味で、日本がアメリカとの同盟関係を維持しつつ、国連安全保障理事会の常任理事国入りを目指してドイツやブラジル、インドと共に「G4]をつくったことについては「日本の自主性が出た」という面でよかった。その一方で、そもそも国連活動に熱心とはいえないアメリカの反対に加えて、中国までもが反対するとは事前には読めなかった。今後の対米関係、対中関係は未知数の部分が大きくなり、それにともなって着地点も見えにくくなっている。イラク戦争に突入したアメリカに批判的な人々が少なくないこともあり、日本の国際地位は非常に不安定な時代にはいった。戦後の政治家の中で比べて見ると小泉氏は頑固に自分の政策を主張するという点においては「ワンマン政治」といわれた吉田茂に似ている。小泉氏はもう十分に破壊力を発揮したのだから。残りの任期は、”独走”はしない方がいい。戦後、池田勇人首相は大平正芳の側近の助言を聞いて「寛容と忍耐」の政治をしたが、小泉氏も相手の気持ちを尊重するような優しさを期待したい。国内手金芋国際手ににも陰徳をつんでほしい。

'05.8.19.朝日新聞評論家粕谷一希様