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                高階秀爾様の・美の現在(1)・文哉、是真、古径自然への精密な観察眼近代に連なる日本の美 (1)~(4)へ続く

 日本の初等教育に「理科」という科目が導入されたのは、明治期のことである。1891年に交付された「小学校教則大綱」に小学校の理科の目標として3つの点が挙げられている。
1、「天然物及び現象の観察を精密に」。
2、その相互及び人生に対する関係」。
3、「天然物を愛する心を養う」ことだという。理科とはつまり自然科学のことだ、
 理科教育の目的として、自然の観察とその因果関係を挙げたのは、近代化をめざす明治日本にとって当然のことであろう。それこそが西欧技術文明を生み出したものだからだ。だが自然を愛するという考えは、西欧の科学教育理念からは出てこない。それは小川正賢が『理科の再発見』の中で論じているように、日本文化的伝統に由来するものである。日本人が昔から自然に親しみ、自然を愛して詩歌や物語、美術工芸品などの豊かな美の世界を築き上げてきたことは、改めて指摘するまでもない。その伝統は西欧先進国を範とした近代の科学教育にも生き続けている。


'05.8.3.朝日新聞、高階秀爾様

関連記事:散歩道<815>プーシキン美術展(1)
~(4)、高階先生の講義から  高階秀爾様の美の現在<5592>(3),<5593>(4),

備考:高階秀爾様が、'12.10.31.文化勲章に輝いた。おめでとうございます!