散歩道<5563>                            575から移動

                             深刻さ増す日本の貧困(2)            (1)~(3)続く

 OECDの数字では、誰もが貧困率が高いと想像するアメリカは17%であり、日本もさほど変わらない。日本の貧困がいかに深刻であるかがここで述べた国際比較と時系列変化で確認できる。なぜこうなったか、さまざまな理由が考えられる。1、この10数年続いた不景気が原因である。失業率が5%前後まで達した。失業は生活苦の代表である、さらに、深刻な不況は賃金・所得の伸びを大きく低下させたことを忘れてはならない。その影響は低所得者により深刻である。2、労働者の間でフリーター、パートタイマー、派遣社員といった非正規社員の数が激増した。これらの人の雇用は不安定で、時間あたり賃金も正規社員と比較してかなり低く、かつ社会保障制度からも排除されている。いわば劣悪な労働条件の中にいる労働者が激増した。3、高齢者間の格差が拡大している。OECDの調査によると、日本において66~75歳の人の貧困率は19.5%。76歳以上の人は23.8%高齢化が進む日本ならではの姿である。ちなみに、18~25歳の若者の貧困率は16.6%とかなり高い、これは若者の10%前後の失業率の高さや、フリーター問題から想像出来る数字である。日本は若者、高齢者層に貧困層が多いのが特徴である。4、日本も離婚率が上昇しており、いわゆる母子家庭の所得が低さが貧困の1つの原因になっている。女性の賃金が安く、良い仕事を見つけることの困難さ、子育てをしながら勤労することの難しさ等が背後にあることは言うまでもない。

'05.8.1.朝日新聞、橘木俊昭京大教授


関連記事:散歩道<174>江戸時代の身分制度を、どのように維持したか<180>失業に関して、仕事に関して(塩野七生様)