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深刻さ増す日本の貧困(1) (1)~(3)続く
戦前の日本は資本家と労働者、地主と小作人という階級対立で象徴されるように、貧富の格差は非常に大きかった。敗戦の結果、経済復興、高度成長期を経て貧富の差は縮小し、貧困問題も深刻でなくなった。人々は豊かでないが何とか食べていける所得を稼ぐことが出来たのである。1億総中流が流布されたこともそれがわかる。しかし、80年当たりから所得分配の不平等が進行し、ごく最近に至っては貧困が深刻な経済問題になっている。ごく最近OECD(経済協力開発機構)は加盟国の所得分配と貧困の現状に関する比較調査を行なった。貧困率に注目すると日本は15.3%とされた。高い貧困率は最高のメキシコ20.3%についでアメリカ、トルコ、アイルランドと続き、日本は5位の高い貧困率である先進国ではなんと3位の高貧困率の国という衝撃的な事実である。貧困の定義は国の経済や社会の状況が違うので国際比較には困難がともなう。すべての国に共通の尺度で貧困を定義して比較可能性を高めた。それは全国平均的所得の50%以下の所得しか稼いでいない家計を貧困者とみなす。この共通定義に従うと日本は15.3%と計測される。10年前までは8%台だったので2倍前後も増加している。このことはわが国の貧困救済政策の最終手段である生活保護制度の受給者の数でも確認できる。ここでの貧困は地域や家族構成に応じて、最低限生きていくための生活費が計上されて、その額が貧困線と定義される。10年ほど前は60万世帯、現在では100万世帯を超えた人々に支給される。個人レベルでは90万人前後であったのが140万人あたりとどちらも貧困者の急増を物語っている。
'05.8.1.朝日新聞、橘木俊昭京大教授、
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備考:私の考えだが、多くの日本人は一生、金持ちにはなれないのではないかと思う。金ができれば、いい家にも住みたいし、いい車にも乗りたい。それに合った生活レベルをするのが自然なことだと考えるようになる。だから、残された余裕などいつまでもないのである。行く末を考えて、少しの蓄えはあるだろうが、それはいざの時の金であって使える種類のものではない。そう考えると、多くの人は、きちきちの中で毎日を送っているのが、残念だが、これが実情ではないかと最近思えるようになった。2012年9月14日
