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紙上特別講義・10代の性(1)交際相手を次々変え性感染症が急速に広がっています。 このテーマは散歩道<5387>に続く。
10代の子供の性意識や行動を調べた。エイズウイルス感染の広がりに警鐘を鳴らす。若い人の間で性感染症が急速に広がっている。流行の中心はクラミジアです。クラミジアは感染しても自覚症状がないこと、女性の場合は不妊症や子宮外妊娠になってしまう、危険がある。HIV感染の危険が高まっている。こうした感染の広がりの背景には、中高生の「性意識・行動」がある。私は、これまで13万件以上の社会疫学的調査を重ね、昨年は、全国高校生1万人の調査実施しました。性関係の有無を尋ねると、高1で1~2割、高2で2~3割、高3で3~4割が経験し、女子が男子より高率でした。経験者のうち、相手の数は「2人以上」という生徒が、高2以上の男女で半数を超えました。高3の男女に限ると「4人以上」と応えた生徒が20%をこえました。携帯電話の交信の多さから、 強く人とのつながりを求めていることは推測できますが、長い付き合いは不得手のようです。若者の間には過去の相手を含めた網の目のような巨大な「性的ネットワーク」が出来上がっています。性意識、性行動、若者達の変化の背景には幼い頃からテレビやマンガ、雑誌、ビデオ、インターネットなどの過剰な性情報にさらされる中で、性関係をせかされているという事情もある。ただそれだけでなく、価値の規範や情報を伝える役目を持つ「人間同士のつながり」が、家庭、地域、学校、友人の間で希薄化してしまったという、現代社会の抱えるもっと根本的な問題があると考える。男子・4割、女子・6割の高校生が後悔や疑問を感じているようだ。
'05.6.27.朝日新聞、京都大大学院助教授木原雅子様
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紙上特別講義・HIV予防(2)私たち大人が、社会の力を回復するのが大切です このテーマは散歩道<5387>に続く。
国内のエイズウイルス(HIV)感染の報告数が増えています。昨年1年間で千人を超え、累計1万人を突破しました。日本は先進国の中で感染が増えている数少ない国です。HIVは社会的に弱い立ち場の人に広がりやすい病気です。日本の場合最も感染が高いのが若者です。まず性情報の氾濫があります。マンガ、テレビ、インターネット等のマスメヂアを通じて、若者達は幼い頃から、性情報の風圧にさらされ、その為に「交際=性関係」と急がされているように思います。一方、若者を支える社会の力が衰えています。家族、地域、学校、友人との人間的なつながりが薄れ、しかも学校や保健行政からセクシュアルヘルスについてたしかな情報が得られない中、若者は無防備に性的ネットワークを発達させているのです。携帯電話やIT通信の浸透も影響しています。昨年の調査では「出会いサイト」を利用し、そこで交際した人が危険な目にあっていると分かりました。大切なのは、私達大人が社会の力を回復することです。予防教育の科学的な建て直しが必要です。私達はここ数年の取り組みで、たしかな効果をもつ予防教育を開発する事が出来ました。徹底した調査に基づき、発達段階を踏まえたこの教育では、ゆっくりと人間関係を築く楽しさや、性関係を急ぐ必要がないことに気づきました。性感染や中絶数など地域の情報を示して、危険が身近にあることも伝えます。メディア情報の読み解き方、IT通信の限界や危険を伝える内容も組み込む予定です。しかし、集団教育には限界があります。より詳しい情報を求める生徒には、まずは保健室での個別相談の充実が考えられます。そして地域の大人の出番です。保険所の検査・相談サービス、医療機関の思春期外来、住民の相談サービスなどを地域ぐるみで整えることが求められます。アジアのHIV大流行が目前に迫っています。試されているのは若者だけではありません。アフリカには「子供をそだてるには村が要る」ということわざがあるそうです。わたしたち大人がどこまで「力のある社会(村)」を回復することができるかが、試されています」。先生によれば、「病気」は医療の問題と思っていたが、HIV予防の話を聞くうちに、性情報、メディア、人間関係・・・・・と、社会の抱える問題が次々出てきて愕然としたと書かれている。
'05.7.4.朝日新聞、京都大大学院助教授木原雅子様