散歩道<5208>

                    アベノミックスクルーグマンコラム・通説打破、良い兆候に注目・(4)                         (1)〜(4)続く

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 再び政権に就いた安倍首相は、日本銀行に対し、インフレ率の向上を求めて圧力をかけてきたのであり、実際、インフレによって政府債務の一部を実質的に減らすことに一役買うことになるだろう。また、つい最近、景気刺激のための新たな大型プログラムを発表した。市場の神々はどう反応したのだろうか?
 その答えはというと、全て順調だ。インフレ予測に関する市場評価は、少し前々は見通しが悪く、市場はデフレが続くと予測していたが、今では好ましい領域へと大きく推移している。
 その一方で、政府の借り入れコストはほとんど変化しておらず、緩やかなインフレの見通しを考慮すると、このことは、日本の財政見通しが実際に急激に改善したことを意味する。確かに、外国為替市場における円相場は著しく低下した。しかし、このことは実は非常に好ましいニュースであり、日本の輸出業者は歓迎している。
 要するに、安倍首相は通説を軽んじ、巣晴らしい成果を上げたのだ。
 さて、日本の政治をいくらか知っている人々からは、安倍首相に対する警告を受ける。彼らによると、安倍首相の外交政策は極めてまずいものだ。景気刺激策を指示するのは従来の通年をたくみに拒否したのではなく、むしろたるに入った豚肉を奴隷に配った(たるに入った豆腐だろうか?)ような、大昔から続く利権誘導型の政治に関係しているというのだ。
 しかし、こうしたことは全く問題ではないだろう。彼の動機が何であれ、安倍首相はお粗末な通説を打破しつつあるのだ。そして、もし彼が成功すれば、何か目覚しいことが間もなく起こるかもしれない。つまり、低迷した経済を真っ先に経験した日本が、今度はそこから脱する方法を他の国に示すことになるかも知れないのだ。


'13.1.17.朝日新聞・クルーグマン

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