散歩道<5189> 
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                           インタビユー・オピニオン・リフレ論争の限界(2)                 (1)〜(5) 続く               
                          制御不能のマネーリフレへの期待は共同幻想に過ぎぬ  

 ・・・安倍政権は、日銀の金融緩和が足りないからデフレを脱却できないと主張しています。
  「デフレに陥っているといわれますが、物価の下落幅は小さいし、物価が下がっていても国内総生産(GDP)はわずかだが拡大している時期の方が多いのです。物価下落の背景には、世界経済の供給構造の激変があります。少数の先進国が生産を独占していた自動車や家電製品も、途上国の工業化で価格が急激に下がりました。液晶テレビのような競争の激しい製品が、金融緩和で値上がりするわけがありません」
  「脱デフレ論は、取り分を増やせなくなった企業の悲鳴に過ぎない。金融緩和には抵抗勢力などいないから、世界経済の構造変化に目をつぶって、日銀に責任を押し付けているだけではないでしょうか」
・・・確かに人々の生活は比較的落ち着いています。
  「若い人達は物価も賃金も上がらないなかで、お金を使わずに生活するノウハウを持ち始めています。例えばシェアハウスに住む人が増えている。一軒家を5、6人で借りて住めば、洗濯機とか冷蔵庫も1台ですむし、料理も纏めて作れば安上がりだ。一人暮らしでも、友人同士で材料をもち込み、ホームパーティのように楽しみながら安く仕上げてしまう。当初は収入が増えず防衛的にやったのでしょうが、そんな生活も悪くない、と」
  「社会問題の解決に取り組むソーシャルビジネスもトレンドになっています。苦戦するケースが多いが、失敗して普通の仕事に戻って、また挑戦して、という感じでノウハウをためている。お金で全てを得る市場経済ではなく、何らかのコミュニティーにつながり、皆で生きる経済。助けあいながら。社会的な役割りを果たせるような働き方をしようという動きが強まっています」
  「私も群馬県上野村に住んでいますが、農家の知り合いが米やお茶を送ってくれます。市場を介さないコミュニティーは、小さくても強い。豊かさとは不安のなさだ、ともいえます。それは貨幣を介さない仕組みをどこまで社会が持っているか、ということにかなり依存すると思います。全てのフアンンを貨幣で解消使用とすれば、膨大な貨幣量になってしまいます」


13.3.13.朝日新聞・哲学者・内山 節(たかし)さん    

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