散歩道<5183>  
                             仕事力・やるべき事は、軽やかにやれ(4)                  (1)〜(4)続く                      
                                  仕事に「上がり」はいらない  
  

走るところまで 人生を走り続けよう
 世界で見ると、日本は休日が多いほうだと思います。普通の勤め人なら週末の2日と祝日15日を加えると年約120日間、少なくとも3分の1は休めますが、楽をすると人間は腰が重くなります。この休日をどのように用いるか、まず考えて欲しい。この地球上で誰にでも平等なのは、重力と時間だけです。
 また、この連載でわたしは若い人に目覚めて欲しいと語ってきましたが、実は60歳あるいは65歳でビジネスの世界を離脱した方にも目を覚まして頂きたい。生意気は承知で申しあげますが、命がある限り何かの役割りを担うべきではないですか。高額の退職金と年金を受け取りながら、あり余る時間と体力、そして経験や能力をなぜ生かしてくれないのでしょうか。ゴルフ場や文化施設で時間を費やしている退職した大人を見ると、わたしは歯がゆくなります。
 例えば、日本のベンチャー企業は、若い人が立ち上げるだけでも大変です。しかも、その製品を応援する気持ちで購入してくれる大人がとても少ない。日本人は用心深く、「みんなが買うまでまとう」という消費行動を取りますから、ベンチャー企業が育たない。米国のシリコンバレーがなぜベンチャービジネスの成功を生み出すかと言えば、優れた人材が集まるだけでなく、彼らの新しい挑戦に対して資金ある大人が自分に可能な応援をしてくれるからです。
 ご自分が勤め上げた業界を元気にする目的でもいい。技術開発の応援でもありがたい。その他どんなことでも、仕事を探して走り続けて下さい。誰も呼んでくれないからなどといわずに、それぞれが持つ力を使って欲しいと思います。


ノウハウを壁*1にしない
 日本人はどんな手段を用いるかというHOWが好きな国民です。わたしが講演をすると、その資料の作成はワードですか、パワーポイントですかと聞いてくる。あるいは会議でスカイプですか、電話会議ですかと。そんなことはどうでもいいのです。その新しい技術やノウハウへのこだわりが、互いを隔てていることに気がつかないと本質を見失います。大切なのはWHYだけです。
 豊かな仕事力を持っている日本人が、それを分かち合えずに技術やノウハウで分断されてしまうのは、いかにも惜しいではありませんか。例えば技術革新を進めるのは、お年寄りの介護をもっと心地よくラクにするとか、ステキな音楽をもっと格好良く聴きたいとかなど、思いやりや喜びを増やしていくためなのではありませんか、その為にはどんな人の知恵が必要か、なぜこの選択をするのかを忘れてはならないと思いますね。
 若い人は勿論、広い世代にわたって重要なのはコミュニケーションの力です。国際社会でも日本国内でも本質は変わりません。人に働きかけ、大切な要素をキャッチすることができなければならない。それを自分が志す仕事に落とし込んで走るのです。
 ハートがついてこなければ、仕事力は伸びていかない。心のフットワークが軽くなれば広がりが生まれてくる。そろそろ日本の元気のために、本気になりましょう。

13.2.10.〜3.3. 朝日新聞・コミュニカ代表取締役・山元 賢治さん

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