散歩道<5175>  

                           インタビユー オピニオン・経済学は無力か(2)                     (1)〜(6)続く    
                            なぜアベノミクス 物価2%の覚悟 市場は疑っている
 
 
 経済学はリーマン・ショックに有効な処方箋を示せず、日本はデフレに沈んだままだ。ノーベル経済学賞でも、危機に真っ向から挑む受賞者は出てこない。これは経済学の敗北、経済学者の逃避ではないか。そんな批判に対し、斉藤誠さんは冷静な語り口ながら、しかし断固として反論する。それでも経済学には貢献できることがある。と。

・・・国民には、アベノミクスで景気が回復して、賃金も増えて暮らしがよくなると思っている人が多いのではないでしょうか。
  「その期待には最終的に反してしまうと思います。エネルギー、食料の価格が上昇しているところに円安が進めば、ガソリンや灯油、野菜の値段はさらに上がる。給与明細の学が増えても必需品価格がもっと上がれば、暮らし向きは悪くなります。株高や輸出回復で勝ち組がでても、一方で負け組みも出る。小泉構造改革で問題になった『格差』
*2がもっと顕著になる可能性があります。円安一辺倒でやっていていいのかどうか」
・・・その現実を前に、リフレ政策は実行できないということですか。
  「政治家に本当にそこに踏み出す覚悟があるのでしょうか。日銀も量的緩和として100兆円基金を設けたが経験のない規模だけに、旨く資金供給できるか不安に思っている。みんなアベノミクスと命名された船の中にのっていて、船長は景気のいいことを言っているが、だれも大海原に出るつもりはない。実は湾の中をぐるぐる回っていればいい、と思っているのではないですか」
・・・そもそもデフレは日銀のせいなのですか。
  「みんな金融政策の責任にすり変えようとしていますが、2008年の
リーマン・ショック*1まで数年間のデフレの要因は、日本経済の国際競争力が弱くなったからです」
・・・ではどうしたらいいと?
  「中国などの新興国が急成長しているのに、日本がこれだけ高い生活水準の経済を保とうと思ったら、それに見合う労働の質が必要。いつも学生に言っています。バブル前の貧しい日本とバブル後のバージョンアップした日本では、若い人に求められてることが違う。こんなに賃金が高い国の労働者が韓国や中国と同じことをやっていたらだめ。一人ひとりがきっちりトレーニングしないといけない。そこは掛け値なしにしんどいので、みな目をそらしています」


'13.2.27.朝日新聞・一橋大大学院教授・斉藤 誠さん

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