散歩道<5169>  
                           オピニオン・ コーチよ怒鳴るな(2)    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・スポーツ                (1)〜(6)続く 
                     傷つけて気づいた 楽しい練習ならば 自分で考え伸びる   

 体罰なんて論外。まずは怒鳴るのをやめよう・・・。子どものサッカー指導の現場でそう訴え、自らも実践しているコーチがいる。サッカーを通じた社会貢献活動に取り組む池上正さんだ。そもそもコーチの役割りとは何か。スポーツの指導者論を聞いた。

・・・コーチ暦34年。ずっと体罰とは無縁だったのですか。
 「私自身大阪の高校でサッカー部に入り、年に360日は上級生から『グランド整備がなっていない』と殴られ、蹴られていました。監督にも殴られた。こんなのはもう嫌いだ、変えたいと思って、大学卒業後に子どもたちにサッカーを教え始めたのですが、血気盛んな20代のころは思わず手を出していました」
 「ある日、ふざけてばかりだった小学校5年の子の頭をゴツンとやったら、『こんなクラブやめてやる』と叫んで帰ってしまった。でもた戻ってくるやろ、と思っていたとき、他のチームで出ているのを見かけたのです。がくぜんときました。私は十分、言葉を尽くしていましたし、私の気持ちを分かってくれているはずや、とも思っていたんです。でも私は愛想をつかされた。それからです。随分悩みました」
・・・どう考えたのですか
 「可能性や才能を見いだし、人間性も含めて子どもを伸ばすお手伝いをするのが指導者の仕事。たとえ100人に1人でも傷ついて離れれていったら、失格と痛感しました。体罰は、そのリスクが非常に大きい。合宿を重ねたりすると『心は通じているはずだ』と思い込みがちですが、誤解です。仮に本人が教育のつもりで殴ったとしても、子どもにとってはあくまで暴力なんです」
 「傷つけるという意味で、怒鳴りつけることも根は同じだとも考えました。言葉の暴力ですから。追いつめたり、否定したり、けなしたりも同じ。すべてやめようと決めました。どんなスポーツでも、プロになるのはひと握り。豊かな人間を多くそだて、社会に送り出す方がスポーツの役割としても大事です。
'13.2.1.朝日新聞 サッカーの出前指導をする  池上 正さん
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