散歩道<5163>
仕事力・心の光を消さないで(4) (1)〜(4)続く
仕事こそ、神聖なもの
あなたの力を ずっと何かに役立てる
私は「仕事が自分の人生だと考え、できるだけのことをしたいという気持ちで生きてきました。 しかし人は、自分が続けようと思っている仕事を途中で断念してしまわなくてはならない時、とても苦しくなります。仕事があるから心も体も丈夫でいられるし、意にそぐわないし仕事をすると体に響く。それぐらい人間にとって神聖なものです。 特に日本人にはその感覚が強い。日本人は食事をしていても、歩いていてもどこか瞑想(めいそう)しているような資質があるように思います。働くことも深く静かに生きることに繋がっているように見えます。アメリカ人はお金を払ってメディエーション(瞑想)を習います。それは時間で労働を売ることとは違う。日常に根ざしたきめこまやかな仕事観ではないでしょうか。世界では日本のことを小さな島の国だけど国民は頭がよく勤勉で、戦禍にあっても大災害にあっても、やがて必ず立ち上がって大きな力を取り戻す国と考えています。それは今まで一人ひとりが何かの役に立とうと努力してきたからですね。一生懸命に野菜やお米を作ってきたお百姓さんや、工夫に工夫を重ねた名もない技術者が、自分の出来ることを貫いてきた。
若いあなたも自分の力を見つめ直して欲しい。私が「クリエーティブな視点を持て」と皆さんに提案するのは「どんな小さなことでも自分を役立てられる仕事」をいつも探していこうと伝えたいからです。
認めあいましょう。違いを、優れている点を
つい先日、ニューヨーク・タイムズ紙で面白い記事を読みました。今まで母親と胎児の間にはとても強い力があることは知られていましたが父親はほとんど関与していないと思われていましたね。ところが新しい研究では、父親が考えていることや、母親に話かけたことまでが全て胎児に届いているから、妊娠中の父親の存在が大事だと分かったそうです。どちらか一方が、一つの役割りをすればいいというものではない。その証拠が出てきたということでしょう。それは仕事にも言えます。男性だけが仕事に優れているわけではない。それどころか女性が優れた力を発揮する場も非常に多い。何より仕事は女性にも神聖な喜びをもたらすものですで、私たち女性は働くことが大好きなのです。
だから家事と育児に追われる主婦の立場を見て育った女性たちが結婚しなくなったり、子どもを産まなくなり始めましたね。まるで皆一緒に「産まない」選択をしている「沈黙の革命」のようです。家庭での男性の大切さ、仕事での女性の大切さ。それを本気で認め合う時が来たのではありませんか。
私の夫ジョン・レノンは、息子のショーンを育てたいと主夫になりました。英国の保守的な環境で成長したジョンには、葛藤のある決断だったはずです。でも、自分に出来る仕事を見つけ出したことは、とてもクリエーティブな生き方だった。
あなたも自分を愛して、自分らしさを信じて、小さなチャレンジから踏み出して欲しいと思います。
'13.1.13〜2.3. .朝日新聞 オノ・ヨーコさん