散歩道<5156>

                  インタビユー・オピニオン・科学者が信頼されない国(3)                      (1)〜(6)続く

                    科学と社会つなぐ仕組みと意識必要市民と議論しよう
 
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・・・これは、日本特有の事情でしょうか。
  「いえ、ユネスコなどが『社会のための科学』を打ち出したのは前世紀末です。世界的にも研究の世界は変革を迫られています。先進諸国では、経済状況から研究予算」の増額が困難になる一方、社会的な課題解決や、グローバリゼーションのなかでさまざまなニーズへの寄与が求められています。同時に、基礎研究をしっかり進め、若い人が希望をもって育って行くことが重要です。自律的に変わらないと政治の過剰な介入を招いてひどい結果になると、世界的な科学誌がそろって指摘しています」
・・・意識を改めて、どうするのですか。
  「社会や政治とのつなぐ仕組みを築くことです。欧米諸国には、エネルギーから国土の安全、農業に至るまで国策全般にわたって、科学的根拠に基づいた選択肢を示し、それをもとに政治が判断する仕組みがあります。科学顧問を中心に専門家の知恵を集めて政府に助言し、政府は必ずしもそれに従わなくてもいいが、その場合は理由をあきらかにする、といった手続きも決っています。例えば、ドイツの指針には、科学者が助言する場合の独立性、透明性の原則があります。さらに、政策助言における知識は学術的な知識を超えることが必要とあります」
  「欧米の議会には、科学や技術を評価する機関があります。原発事故を巡って国会に初めて事故調査委員会ができましたが、これからは、国会にも科学技術をきちんと評価する役割りが求められると思います」

'13.1.24.朝日新聞・政策研究大学院大学教授・有本建男さん

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