散歩道<5154>

                  インタビユー・オピニオン・科学者が信頼されない国(1)                      (1)〜(6)続く

                   危機に先頭に出ず 責任感も不十分 社会にとって不幸 
  
 科学者や技術者への信頼が損なわれるきっかけとなった、東京電力福島第一原子力発電所の事故から間もなく2年になる。信頼回復には道遠く。専門家への不信感もぬぐえていない。科学技術行政の現場から大学に転じた有本建男さんは「科学者や専門家が信頼されない社会は不幸だ」という。どう立て直すのか、今後の課題を聞いた。

・・・そもそも、なぜ信頼が失われたと思いますか。
  「原発事故に加えて、事故後の科学者の振る舞いが大きかったと思います。危機のときは、専門家の知識や経験を総動員して対処すべきですが、その先頭に立つべき立場にあった人達の言動からはその責任が十分感じられませんでした。政府内から学界まで、科学者たちの組織も、積極的に動こうともせず、多くの人の目に触れたのは、テレビなどで個人的見解を披露するばかりの人達でした。まっとうな専門家も大勢いたはずで、そうした人たちが事故に関する情報を得て冷静な議論をし、発信できたらよかったのですが。結局、個人の資質に加え、専門家の知恵をうまく動員する仕組みがなかったことが響きました。市民が一番必要としていたときに役割りを果たせなかったのですから、信頼が失われて当然です」

'13.1.24.朝日新聞・政策研究大学院大学教授・有本建男さん

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