散歩道<5144>
社説・混迷の時代の年頭に
「日本を考える」を考える (4) (1)〜(4)続く
国家を相対化する
「国家を超える資本や情報の移動などによって国家主権は上から侵食され、同時に(国より小さな共同体からの自治権要求によって)下からも挑戦を受ける)」
白熱教室で知られる米ハーバード大学のマイケル・サンデル教授は17年前の著書「民主主義の不満」でそう指摘していた。これから期待できそうなのは、国家が主権を独占しないで、大小の共同体と分け持つ仕組みではないかという。
時代はゆっくりと、しかし着実にその方向に向っているように見える。「日本」を主語にした問いが的はずれに感じられるときがあるとすれば、そのためではないか。
もちろん、そうは言っても国家はまだまだ強くて大きな政治の枠組みだ。それを主語に議論しなければならないことは多い。私たち論説委員だってこれからもしばしば国を主語に立てて社説を書くだろう。
ただ、国家以外にプレーヤーが必要な時代に、国にこだわるナショナリズムを盛り上げても答えは出せまい。国家としての「日本」を相対化する視点を欠いたままでは、「日本」という社会の未来は見えてこない。
'13.1.1.朝日新聞
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