散歩道<5128.>

                              オバマ再選後の米国
                              
米中が腹さぐる熾烈な外交へ(2)            (1)〜(3)続く


現実主義に回帰


 
米国が単独で問題を解決できないとなると、テーマーに応じて多国間による連携を柔軟につくっていくしかありません。場合によっては米国と価値観を共有しない国も加わる事もある。価値より問題解決を優先する仕組みなのです。
 オバマ政権の外交・安全保障政策の特徴は現実主義への回帰です。[自由」といった価値にもとずくドクトリン(基本原則)を掲げて行動するのではなく、個別・具体的に対応していこうという意識が強い。場合によっては米国と相入れない価値を持つ国とも協力関係を構築しながら、国益を最大化するという発想です。
 米中間には抜き差しならぬ相互不信があります。中国は米国に包囲されようとしているという感覚を抱いている。恐らく中国は、自分たちの台頭に見合った正当な地位や評価が与えられていないと感じているのでしょう。
 これに対して米国には、戦後、日本などの国々と一緒に築いてきた
地域経済秩序に便乗するかたちで中国は台頭してきたにもかかわらず、この秩序を維持するための相応の責任を果たしていないという意識がある。もうすぐ発足する中国の新指導部とは当面、腹のさぐりあいとなるでしょう。米国は中国に「是々非々」で臨むはず。局面によっては徹底的に対立するかもしれません。しかし、これが米中関係全体に深刻なダメージを与えるようなことは避けようとするはずです。
 世界は一国では制御できない新しい問題に直面しています。世界経済、気候変動、サイバー空間、宇宙空間における安全保障問題など実にさまざまです。これらについて米中がどう話をつけていうのか、日本にとっても無関係ではありません。
 現代の国際政治は、より高く、より強くこぶしを振り上げることによって目的が達成されるわけではなく、国際社会のルールずくりをめぐる熾烈な議論に参加するという形を取ることがしばしばです。そうしたグローバル時代のぶつかり合いはすでにはじまっえいます。

'12.11.9.朝日新聞・青山学院大教授・中山 俊宏さん


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