散歩道<5100>
                    
総選挙・インタビユー・オピニオン・ポピュラリズムの正体
                        「構築する政治」へ 外からの力が 硬直さを刷新する(3)                     (1)〜(5)続く
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・・・効用があってしかも一過性なら、ほっておけばいいんです。
 「どうでしょう。確かにポピュラリズムは、権力に近いづけば近づくほど現実化を余儀なくされます。これまで『あっち側』を批判することで人気を得てきたのに、自分が『あっち側』の人間になったら批判の足場を失い弱体化してしまう。よほどうまくかじ取りをしなければ人心が離れていく可能性は高い。ただし集めた期待が大きければ大きいほど、失敗した時の失望も深く、政治そのものが誰からも信用されなくなり、民主主義が本当の危機に陥ってしまうかも知れません。そうならないためにも、既存の政治システムの側がポピュラリズムへの感受性を高め、自己変革のきっかけにすべきなのです」
・・・とはいえポピュラリズムは「敵を名指して人々の感情を動員する。危険ではないですか。
 「そういうものとも限りません。例えば、アメリカの草の根保守運動のティパーティはポピュラリズムの一種ですが、合衆国憲法の精神を足場に、そこからオバマ
*1政権を批判しています。先進民主主義国の多くは、迷った時に立ち返るべき『原点』をもっています。アメリカは憲法、フランスだったら共和制ですね。欧米の現在のポピュラリズムは、その原点における約束事の履行を求める政治活動という側面があります。そしてオバマ大統領も、常に憲法を引用して国民に語りかける。そこをスタート地点にするという共通了解があるのです」
 「しかし日本は、回帰すべき『原点』を持ちません。『万世一系』も日本憲法も、そこまでポテンシアルはもっていない。残念ながら理論で人々を糾合することができない歴史なんです。だからある時は抵抗勢力、ある時は官僚と、外部に敵をつくり、それを攻撃することによってしか人々は動員できません」
 「少し話はそれますが、東日本大震災を受け、当時の菅直人首相が『第二の戦後復興を果たすさなければならない』と発言しました。あの世界史的な大惨事に際して『戦後復興』しか持ち出すものがないというのはあまりにもつらい。後は『絆』とか、広告会社の陳腐なキャッチコピーのようなものか。そのような国のポピュラリズムはその程度のものにとどまざるを得ません」

'12.11.30朝日新聞・北海道大准教授・吉田 徹さん 

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*1オバマ、<検>社説、<検>環境、