散歩道<5099>
総選挙・インタビユー・オピニオン・ポピュラリズムの正体
政治不信かき集め 既存体制揺さぶる 権力近づけば弱く(2) (1)〜(5)続く
「ポピュラリズム」って響きがちょっとかわいいですが、日本語にすると「衆遇政治」。印象が一変します。既成政党の政治家やメディアに毛嫌いされ、否定されるポピュラリズム。しかし吉田徹さんは「徹底したポピュラリズムってこそが民主主義を救う」と言います。どういうことなのか、話を聞きました。
・・・・日本でポピュラリスト的政治手法を使った政治家のさきがけは、小泉純一郎元首相でしょうか。
「元祖は中曽根康弘元首相です。自民党の得票率が40%を切るような状況に陥り、中曽根内閣は従来の支持基盤であった農村・商工業者から新たに、個人主義的な都市住民層の『広くて浅い』支持を獲得しようとします。国鉄や労働組合といった敵を作り、国鉄民営化を実現することで一定の成功を収めました」
「いま日本のポピュラリスト政治家は、基本的に地方冶自体の首長です。首長は大統領制型の政治を行えるし、中央と地方という分かりやすい対立構図を作ることができるたえ、リーダーシップの可視性が高いからです。首相だった中曽根、小泉両氏が『上からのポピュラリズム』だとすれば、日本ではじめて『下から』が生起したと言えます」
・・・橋下を「さんを「ポピュラリスト!」「危険だ!」と批判することによって、橋下さんの人気はむしろ高まったように思います。
「当然です。ポピュラリズムの源泉は政治不信です。ベースとなっているのは、既存政治の無力と、政治を一方的に批判するだけのメディアや知識人といった『エリート層」への猜疑心(さいぎしん)です。そういった人たちが橋下さんを批判すればするほど、彼の『正しさ』が証明される。自分たちがポピュラリズムをそだてたのだという自覚を欠いたまま、橋下さんを批判している人が多すぎます」
「政治によって『代表される人々』と、社会にいる『実在の人々』との間には必ずズレが生じ、それが『自分は誰にも代表されていない』という政治不信を生みます。ポピュラリズムはそのズレを修正する自己回復運動のようなもので、民主政治に不可避なものです。いくら『大衆迎合だ』『衆遇政治だ』と批判したところでなくなるものじゃない」
・・・なくならないんですか。
なくなりません。ただし、古今東西、ポピュラリズムは基本的に一過性のものです。もともと既存の政治システムへの批判からスタートしますから、システムの側が柔軟に応答した場合は治まります。硬直したシステムの筋肉も柔らかくなって、しばらくはケガもしにくくなる。つまり問われているのは、既存システムの側の応答性です」
'12.11.30朝日新聞・北海道大准教授・吉田 徹さん
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