散歩道<5093>
インタビユ・オピニオン・ リベラルは消えたのか
子育ても長寿も、安全保障もやれ(2) (1)〜(3)続く
「1980〜90年代、神戸大にいたころ左翼から『保守だ』と批判されていました。私は現実主義者ですから、その通りかもしれません。ところが防衛大学校長になると、今度は右から『左翼だ』と批判され始めた。私の立場は変わらず、右翼でも左翼でもないのにね。特に2008年、航空幕僚長だった田母神俊雄氏が過去の戦争について政府見解と異なる論文を書き、解任されたときです。今なお誤りを認めることができず精神の変調を引きずる人がいる、と全国紙のコラムで書いたら、職場も自宅もデモに襲われるようになりました」
「日本のやったことはすべて立派だ、といいたいのでしょうが、それは違う。日米開戦はルーズベルトの罠にはまったという主張も事実ではありません。誰かにそそのかされた、だから私は悪くないなんて、リーダーとして聞くに堪えない話です。間違いを認識し、歴史に学ばねばならない。健全なナショナリズムは冷徹なリアリズムを踏まえたものです」
・・・・世の中の軸が、右へずれてきたということなのでしょうか。
「左翼でなければ正当制がない、という戦後の一時期にくらべると、右が解放されて噴出してきた感じは確かにあります。右派系の出版社が紙爆弾をどんどん撃ち、私も攻撃を受けたとき、社会全体が可笑しくなってきたのかと思ったこともありました。でも、気付いたんです。かって、元気がよかった左翼的集団主義が結局は社会を動かすことができなかったのと同じく、威勢のいい右派も一部の勢力に過ぎないんだと。社会はそんなに不健全ではない、まともな意見は通るんだと」
'12.11.27.朝日新聞・前防衛大学校長・五百旗頭真さん
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