散歩道<5065>

                              まなあさ さあ、知の世界へ
                                  
無駄なことをしてみよう・(2)                (1)〜(2)続く

   今、行き詰まりをみせる日本社会で、私たちは何を学ぶべきでしょうか。私の答えは、「宗教」と「政治」です。
 大学で私は学生諸君に「どんな信仰を持っていますか?」と質問します。すると、異口同音に返ってくる答えが「無宗教]でした。しかし「それは無神論ということか」と重ねて問えば、答えられない。
 無神論は「神はいない」と考える立場を明確にしています。それに対して無宗教というのは、宗教への思考停止の状態です。ところが多くの学生は。無宗教は無色透明で、中立的な立場と考えている。それはなぜでしょうか?
 同様に「どんな政党を支持していますか?」と問えば、多くは無党派」と答えます。政治に関心がある学生でも、かなり多い。これは宗教も政治も、学校や地域、職場の中で「話さない方がいい話題」とされてきたためです。
 戦後日本の中で、宗教と政治は、限定された学びの領域でした。しかし現在は、世界を動かす大きな力こそ、宗教と政治だということがわかってきました。
 だから高校生以上の学生には、宗教と政治について考え、多事総論的に学ぶことをお勧めします。その二つを避けてきたことが、今の日本の苦境や、展望が開けない状態につながっているのではないでしょうか。


'12.8.13.朝日新聞・政治学者・東大教授・*1姜尚中

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