散歩道<5062>
まなあさ・ さあ、知の世界へ
まねで終わらず創造を(1) (1)〜(2)続く
今日は、科学を学ぶことの大切さをお話しようと思います。
私は中学生のとき、国語の先生から「学ぶということは、まねるということからきている」と教わりました。はじめは先生なり教科書なり参考書なり、まねることから始めるのです。
本を読んでいろんな知識を身につける。でも、それだけではいけません。大きくなるにつれて、学んだことを利用して新しいものを作りださなければいけない。そうしないと、実際に学んだことにはならないのではないでしょうか。
私は子供のころ、科目の好き嫌いはありませんでした。ただ、一番すきだったのは算数や数学。1+2=3で、答えが一つしかない。文系は正解が一つでないケースがある。論理的な結論が出るのが好きだったのかも知れません。
進学した北海道大学は、最初は学科が決っていませんでした。数学、物理、化学、全部習いましたが、ある有機科学の本に出会い、好きになった。1回読むごとに「正」の字の1画を記し、「33」まで言った記憶があります。実際には、それ以上呼んでいたと思います。私は、この本がきっかけで有機化学の道に進むことになりました。
高校になれば文系か、理系に進むかを決めることができます。でも、人の将来はすぐに固まるものではありません。「これが好きだ」と思っていても、変わる可能性は十分にある。若いうちは、あまり固く考えないことが大切です。私が有機化学を研究し続けたのはやはり好きだったからだと思います。
'12.8.13.朝日新聞・ノーベル賞化学者・鈴木 章氏
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備考:2012年・京都大の山中伸弥教授がノーベル賞の医学生理学賞に輝いた。教授は記者会見で、若い人には是非化学の分野で活躍して欲しいと、化学はやればやるほど面白く興味深いものであると述べられた。