散歩道<5061>

                               耕論・転職を望まない若者(3)          
                               知識ある「社蓄」を目指せ(2)                  (1)〜(2)続く

  次に、自分は「補欠」だと考えて、レギュラーになるべく努力をしてきたか。補欠が試合に出でられないことに不満をいうのは筋違い。レギュラーになるには、レギュラー以上の努力をしなければ勝ちあがれない。
 上司からの指示に従い、黙々と働けと言われても抵抗感があるでしょう。指示されたことの意義を理解できず、疑問を持つこともあるでしょう。でも、若手には、その価値判断をするのに必要な知識が身についていないんです。物差しにたとえれば、30年のキャリアを持つベテランは40aだとしたら、若手はせいぜい10a程度。一人前のレベルじゃない。
 能楽の大成者でと言われた世阿弥は、「守破離
(しゅはり)」という教えをのこしました。私は会社員人生40年を守破離の3段階に分けて考えます。守の段階では、師に決められた通りに動き、形を忠実に守る。破では、守で身につけた基本に自分なりの応用を加える。離では、これまでの形にとらわれず、自由な境地にいたる。
 若手は守の段階です。自分の物差しで、やることに意義を見いだせなくても、黙々とやることで基本を身につけるんです。
 書店には転職に成功した人の本が並んでいます。でも、本を書いたり講演したりしている人たちは、例外なんです。自分も同じようにできると考えるのは、単なる錯覚です。サラリーマンの大半は凡人です。
 若い社員は「社蓄」を目指せ、です。キャリアを積めば、知識を蓄えた「社蓄」に変身できるのです。


'12.6.12.朝日新聞・経営コンサルタント・藤本 篤志さん

関連記事:散歩道<検>教育・若者、<検>企業、<検>仕事力、<検>社説、<200>素晴らしい企業・備考の欄参照のこと、<4955>
経気台・お化けする駐在員、