散歩道<5056>

                               耕論・転職を望まない若者(1)          
                               江戸時代から続く国民性(1)                     (1)〜(2)続く

 構造改革を掲げて小泉政権が発足した2001年前後は、会社にしがみつくのは凡庸な生き方でダサい、という空気がまだありました。定年まで勤めたい、なんて「僕は凡人です」と答えると同じだったので、言い出しにくかったのでしょう。
 でも、その後の10年でグローバル化が進み、激しい自由競争にさらされると、「凡人」でいたら正社員どころか一生フリーターかもしれない、とみんなおびえ始めた。 「平凡」だったはずの終身雇用は「特権」となり、だったら「しがみつけるだけしがみつこう」と考えるようになったのだと思います。
 グラフを見ると、「一生勤める」と「転職してもよい」が逆転するのが、安倍政権に変わった06年前後、格差社会への批判が強かったころです。
 私の持論で言えば、構造改革の下で「中国化」が進んでも、「江戸時代」に慣れ親しんだ日本人の心性は変わらないなあ、という印象です。
 格差のない社会はありません。ただ、その格差をどんなロジックで人々に納得してもらうかに、その国や文化の個性が出る。とりわけ正反対だったのが、中国と日本です。

'12.6.12.朝日新聞・愛知県立大准教授・與那覇(よなは) 潤さん

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経気台・お化けする駐在員、