散歩道<5052>   
              
                            グルーグマン・コラム・銀行救済
                                 
金融緩和で労働者も救え(1)
                 (1)〜(4)続く

 ああ、なんと。また銀行救済だ。今度はスペイン。これを予想できたのは誰だろろう?
 「答えはもちろん「みんな」だ。実際、一部終始が、まるでコメディーのようなお決まりのパターンに見えてきた。経済がまた傾き、失業率が急上昇し、銀行が苦境に陥り、政府が慌てて救済する・・・だが、どういうわけか救済されるのは銀行だけで、失業者ではない。
 念のために言っておくと、スペインの銀行はたしかに救済を必要としていた。スペインは明らかに「破滅への連鎖」に陥る寸前だった。これはよく知られたプロセスで、銀行の債務支払い能力への懸念から、銀行は資産を売却せざるを得なくなる。そのため資産の価格は下がり、債務支払い能力に対する懸念がますます高まる、ということだ。政府は現金を注入して、このような破滅への連鎖を止めることができる。しかし今回は、スペイン政府自体の債務支払い能力が疑われているため、広く欧州の基金から現金を調達しなければならなかった。
 だから、今回の救済策は必ずしも問題があるわけではない。だが気になるのは、欧州の指導者たちがこの救済策をまとめておきながら、スペインで労働者の4分の1近く(若者に限ると半分以上)を失業に追いやってきた政策を変える気が全くないことを強く示唆している点だ。


'12.5.14.朝日新聞・米プリンストン大教授・クルーグマン

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