散歩道<5048>
グルーグマン・コラム 失業問題
「構造的」と逃げず需要増を(1) (1)〜(4)続く
私は数日前、一流の学術の一つに掲載されている、いかにも権威のありそうな論文に目を通した。米国の高い失業率には構造的な深いねがあり、如何なる目先の解決策も不向きであるかとが延々徒論じられていた。米国経済は、急速な技術変化に対応できるほど柔軟ではないというのが執筆者の見方だ。
そうだ、言いそびれたことがある。問題の論文は、1939年6月に発表されたものである。そのわずか数ヶ月後に第2次世界大戦が勃発し、米国はまだ参戦していなかったが、軍備増強が始まって、ようやく不況の深刻さに見合う規模で財政出動が行われた。そして、2年後には、米国の非農業部門の就業者数は20%増加した。今日で言うと2600
万人の雇用に相当する。
今、私たちは別の恐慌に陥っている。先の恐慌ほどではないにしても、十分にひどい状況だ。そしてまたしても、いかにも権威ありそうな面々が、私たちの問題は「構造的」で、早急に解決できるものではないと主張している。彼等の言うには、かれらが責任ある行動を取っていると信じて、長期に目を向けなくてはならない。だが現実には、彼らははなはだ無責任だ。
'12.5.14.朝日新聞・米プリンストン大教授・クルーグマン
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