散歩道<5040>
仕事力・「感じ、考え、動く人になろう」(2) (1)〜(4)続く
借り物知識を当てにしない
受け身の習慣が染みつかないように
「出世を意識しない新人社員」が増えているという調査結果があるようですが、それはまだ、自分が仕事で伸びて行く面白さを知らないからだと思います。又、成長したいけれど会社が指導してくれないとぼやく人もいる。これからはグローバリゼーションの時代だから、国際的な人材になれという話を聞いたとしても、「まだ会社がそういう研修を受けさせてくれないから」と消極的な言い訳を自分にしてしまう。
だから、企業は社員研修をやめた方がいいと僕は考えます。3年研修、5年研修というような型にはまった研修が用意されていると、若いあなたはそれで安心しませんか。でも、横並びの表面的なスキルは借り物であって、自分らしい成長にはつながらない。
例えば英語ができるとは何か、考えてみてください。ビジネスの現場では自分の主張が出来なければ意味がありません。「どうしても自分が伝えたい」ということをまず考え抜いて、それを必死で話すことが重要なのです。僕は英語が得意ではなかったので、かってアップル社のスティーイブ・ジョブズとのプレゼンテーションに挑んだときも、流暢に話したのではなく、アイデアを伝えることにただ一生懸命でした。
みんなの意見や、ランキング、トレンド*1なども受け身の借り物です。それに乗るものかと自分を戒める気持ちが大切です。
自分で殻を脱ぐセルフイノベーションへ
仕事や人生を面白くするためのカギを握っているのは、自己革新、セルフイノベーションという考え方。受け身とは反対の価値観です。別に高度なトレーニングや才能が必要なわけではなく、大多数の人と同じことをしない、常識意的な発想をしない、というようにまず自分を解き放つことをやってみて欲しい。
僕は昔から、人がやっていることはやるまいとか、好きなことでも流行し始めたらもういいやと冷めてしまう人間で、それは今も変わりません。8年前に自ら仕掛けた「ipod(アイポッド)」も、今では歩きながら聴くことはありませんしね。外出中は周囲を観察しながら、聴覚を働かせたいからです。移動時にスマートフォンをいじっていることほとんどありません。様々なSNS(交流サイト)で近況を報告したり、つぶやいたりも一切しません。そう言えば、本もほとんんど読みませんね。自分のフィルターで世の中に起きていることを感じ取りたいからです。
誤解を恐れずに言えば、データーを参考にしたい気持ちは後ろ向きで常識的です。数字は、頭を縛ります。セルフイノベーションは、たとえどんなに小さな「?」でも、自分が感じたのだから何かあると信じ、分け入っていくところから始まります。そこに「芽」がある。人を感動させるようなワクワクする仕事は、そういう個人の直感から世に出て行くのだと思います。
'12.10.7.〜28.朝日新聞・リアルディア代表取締役社長・前刀 禎明(さきとうよしあき)さん