散歩道<5039>
仕事力・「感じ、考え、動く人になろう」(1) (1)〜(4)続く
自分の弱さは何だろう?
五感の刺激を忘れていないか
幾つかの転職を経て、2004年に米アップル社に入社しましたが、それは低迷している日本市場でアップルを復活さえる為でした。アメリカ本社で面接してくれた
スティブ・ジョブスからは、危機感と情熱が伝わってきました。「iPod mini(アイポッドミニ)*1」で起死回生を狙おうという僕のプレゼンテーションは受け入れられ、そして日本で成功することができたのですが、このとき、僕はファッションとして楽しんでもらえる製品という戦略をとりました。片手で簡単に操作できる小型でカラフルなiPod miniをおしゃれな持ち物として訴求していったのです。
僕は理系の出身ですが、スペクト(性能)を訴求するという発想ではなく、その製品を使うとどれだけワクワクするか、楽しいかを必ず考えます。実家は農家でしたので、よく田植えをしたり、畑仕事をしたりしました。そこで遊んだ喜びや、そういう感性に戻るなら人は無意識に行動を起こすものと思います。どんなに技術が進んでも、アナログな楽しさが大事なことに変わりありません。
答えは決っていない
五感を刺激されて育つと、快不快とか、好きか嫌いかといった「自分基準」が培われます。でも偏差値だけを重視して、その数字に沿って進路を選んでしまうと、外から与えられる「正解」に判断を委ねてしまいます。凸凹な道ではなくて、舗装されたフラットな道を走らされてきたことにさえ気がついていない。これが、あなたの本来の力を出せない要因になっている。
例えば偏差値にあった企業に就職し、会社に行けば黙っていても給与が支払われると思っていないですか。会社が急激に傾いてリストラされる事も珍しくないのに、与えられた日常の仕事をこなせば何とかなると、まだ思っていたりする。つまり正解といわれる就職をしたからこれでいい、と思考が止まっていないかですよね。しかし、就職してからこそ、自分を成長させていかなくてはならない。
そのために自分に質問をしてみてください。「自分にとってこの会社は何だろう?」、また逆に「この会社にとって自分が存在する意味は何だろう?」と。一人ひとりがちゃんと何かしらの価値を生み出しているのかどうか、その重要なポイントを考えてみて欲しい。その上でそれぞれの夢があっていいと思うのです。自分はどうなりたいか、何をしたいのか、答えは既にあるわけではなく、自分で明確にしていくだけ。だからこそ仕事していくのは楽しいのです。
'12.10.7.〜28.朝日新聞・リアルディア代表取締役社長・前刀 禎明(さきとうよしあき)さん