散歩道<5035>  
                             経済気象台(748)・等身大の新興国を見よ


 新興国経済の減速が顕著だ。中国の成長率はリーマン・ショック
*1直後以来の低さで、インドやブラジルの成長にも急ブレーキがかかった。
 
欧米景気の停滞に伴う輸出の減速や、景気過熱に対する政府の引き締め策が影響していることは疑いない。そこから、世界経済が安定し政府が景気刺激策に転じれば、新興国は再び高い成長力を取り戻すという見方が出てくる。
 しかし、それは新興国変調の真因を誤解している。
 経済停滞の底流を流れているのは、これまでの高度成長が蓄積してきた矛盾だ。第一に、特に中国で顕著なことだが、投資主導型の成長とそれを支えた経済・金融システムが、過剰設備の増大や負債の膨張、不動産市場の過熱などを招いている。これが経済を不安定化させている。
 第二に、政府の介入強化や自由化の遅れがある。中国では、国有企業の寡占化が民間企業の成長を抑制している。インドでは資本流入の低迷が国内投資の制約となっている。第三に、所得格差の拡大が、中間層の成長を阻害している。国民は、経済成長が生活の豊かさをもたらしてこなかったことへの不満を募らせている。
 これまで新興国は、安価な労働力、過大な債務や投資、政府の強い統制に支えられて実力以上の経済成長を続け、世界の企業や投資を引きつけてきた。その過程で大きな矛盾が蓄積し、それが経済の変調を引き起こしている。
 今後は、持続的・安定的でバランスの取れた経済成長を目指すために、多くの改革に取り組む必要がある。その過程で、経済成長率はこれまでよりも低下する可能性が高い。しかしそれこそが、新興国経済の等身大の姿である
。   '12.7.28.朝日新聞

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備考:どの国も出来るだけ他国の影響を受けることは少なくし、自国の地についた成長を勝ち取ろう。