散歩道<5034>    

                           
経済気象台(747)・地元偏愛症候群

 日本の将来にとって地方経済の再生は大きな課題だ。景気低迷による所得格差よりも、地域格差のほうが深刻ではないだろうか。グローバル経済が進展し、地方の製造拠点としての地位は低下した農業の競争力も弱く、地域経済は中央への依存が相変わらずだ。
 一方で、各地で地域おこしの努力が積み重ねられている。このような草の根の活動が地域再生の礎となると期待している。
 ただ、これらの努力に大いに敬意を払う一方、その内容がどこも似たりよったりで決定打に欠けるように感じる。失礼を覚悟で言えば、「地元偏愛症候群」であると思っている。
 「わが地域は自然が豊かで、海のもの山のものなどおいしいもんが豊富です」という言葉をどこへ行っても聞く。しかし、日本の地方は、どこへ行っても基本的に自然は豊かで、おいしいものに事欠かない。それだけでは、魅力ある地域のアピールにはならないことをもっと強く自覚すべきだろう。
 米の経営学者マイケル・ポーター氏は競争の基本戦略として、他者と差異を創出することの重要性を説いている。ところが、「地元偏愛症候群」にかかると、思考の視野が狭くなって、この差異化の詰が恐ろしく甘くなる、というのが私の意見だ。
 それは、単なる風景の違いや、味の差といったものではなく、顧客から見た価値の高さである。これを競いあってこそ、観光客を内外から引き寄せることができる。その結果、観光客全体の数も増えるはずだ。
 視野の狭さから脱却する時、頼りになるのが「ヨソモノ、ワカモノ
*1、バカ*2モノ」だ。彼等の力を借りながら、その地域ならではの顧客価値をつくりあげてほしい。'12.7.27.朝日新聞

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備考:まさに指摘通りだ、自信を持って地域の良さを示そうではないか。