散歩道<5029>
                          経済気象台(742)・勝ち残る中小企業

 戦後、順調に成長してきた日本経済は、1970年代に突然の石油危機に遭遇し、インフレと不況を同時に体験した。学んだことは「省エネ・省資源」で、それは金科玉条だった
 省エネ・省資源は、工業製品の小型化・軽量化への流れにつながった。家電製品では今も続いている。2分の1
インチ幅のビデオテープは、8_ビデオへと発展し、手の平サイズのハンディカムへと劇的に進んだ。
 90年半ばからはITの発展で中身に変化が及んだ。記憶装置であるメモリーが大きな役割りを果たし、回転するテープやディスクは回転しないメモリーに取って変わられた。デジタル技術が急速に進み、製造工程の技術革新もあって情報家電では構成する部品点数は激減した。
 テレビが、ブラウン管から液晶パネル、そして有機ELへと進化するのも、省エネ・省資源という大原則に沿った流れといえる。
 小型化・IT化の流れに今後、「光技術」が加わって情報処理やレーザー加工分野などで、工業製品の技術革新はさらに大きく発展する可能性がある。
 石油危機は、工業国にとって最悪の環境変化だった。いまの超円高は輸出国にとってやはり最悪の環境変化だ。石油危機でも多くの企業が破綻
(はたん)した。
 しかし勝ち残って発展した企業も多い。省エネ・省資源を、「小型化する技術」と理解して技術開発を進めてきた企業が勝ち残ったのだ。
 破綻企業と発展した企業との違いは何か。それは次なる世の中のニーズを早く理解することだ。大企業の国際化に振り回されることが多い中小下請け企業だが、一歩先んじた技術開発こそ、中小企業の「勝ち残り」のカギだ。
   '12.7.3.朝日新聞

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備考:5年後の今、この記事に感想を書いていて思うのは、この間にすごい変化が起こっていたのを実感する。'17.