散歩道<5028>
                      経済気象台(741)・木を見て森を見ず

 消費増税法案の衆院通過にワシントン、ウォール街の友人たちは「やったな」と半ばうらやましげに言う。
 世界経済の低迷と信用不安の元凶はギリシャのように国を倒産寸前にまで追い込む各国の膨大な財政赤字だ。しかも国民に増税や年金削減など負担を強いる財政再建はなかなか進まない。
 そこで一刻も早く財政立て直しに踏み出した国が一歩抜き出る。民意を説得できるか、各国政治家の力量を問う競争である。
 これまで、財政再建のトップを走っていたのは、欧州連合(EU)の機関車ドイツだった。しかし、スペインやイタリアに波及する信用不安の鎮火に追われて立ち往生気味だ。
 だから、増税法案衆院通過は、G8で再三決議してきた国際公約を経済大国日本が少なからず果たすことになり、世界経済に大きく貢献する道を開く。
 だが、法案通過は民主党の小沢一郎元代表を中心に造反者が出て、政局の不透明さを増幅させた。小沢派は、党のマニフェスト違反を批判して、政治家としての信念を貫いたようにも映るが、実は「木を見て森を見ず」だ。世界の中の日本という国際感覚に乏しいことを暴露したに過ぎない。造反者の処罰が先決と叫んで、参院の議決をこじらせるようでは自民党の谷垣禎一総裁も同罪に陥る。
 もっとも、民自公の3党合意に政治生命をかけた野田佳彦首相らに、消費増税は世界経済のためという認識が強かったとも思えないが、事実上の党分裂を招きながらも、結果的には日本の国際的な体面を保った。何が国民のためなのか。国際的見識を持たない政治家の時代は終わりにしたい
'12.6.28.朝日新聞

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備考:今から考えても、この「マニフェスト」という言葉、政治家にも国民にも理解消化不良でいつの間にか消えていったように思えて来る。'17.