散歩道<5026>
経済気象台(739)・量的金融緩和論者に問う
スペインなどの欧州債務問題の影響で、日本は円高・株安に見舞われている。こうした状況下、再び量的金融緩和の強化論が喧(かまびす)しい。一見もっともらしく聞こえる緩和論であるが、本当に有効な政策なのか検証が必要である。
量的金融緩和論は通常、次のような論理を展開する。つまり、量的金融緩和→物価上昇→円安→輸出競争力強化との流れだ。しかし物価上昇が現実的かというと現在の日本経済(実質ゼロ金利下)では実現可能性が小さいといわざるを得ない。
量的金融緩和は企業に資金共有するものだが、それは返済が前提だ。補助金などの財政支援とは異なる。したがって期待利潤率の高い事業がなければ、いくら緩和しても企業の投資行動は前向きにはなりにくい。
金利機能が効かない実質ゼロ金利下で、中央銀行がマネーをいくら供給しても、これが購買力として行使されなければ、物価は上昇しない。現に、大部分の企業では手元現預金は潤沢であるものの、投資すべき利潤率の高いビジネスが見当たらず、国内での投資を控えている。
この手元現預金をどうすれば購買力として使ってもらえるのか、ということが経済政策の課題である。これを解決せずして、いくら緩和しても、実体経済回復にはつながらない。
また、円安で日本企業の輸出競争力が強化されるというが、物価上昇による円安では強くなるとは考えられない。なぜならば、国に物価上昇により生産コストは上昇し、その分、円安になっても競争力に変化はない。
長い目で見ると、国際競争力の強化は、技術革新などに伴う生産性の上昇によってこそ達成されるものだ。
'12.6.20.朝日新聞
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備考:国際競争力に勝つには、金融政策、技術革新は同じ比重で前にすすべきだと思う。