散歩道<5015>
経済気象台(732)・経済成長できるのか
19日に閉幕したG8サミットの共同宣言は、各国が財政再建だけでなく経済成長にも配慮することで合意した。成長重視のオランド仏大統領の就任やギリシヤ総選挙での緊縮派の後退などが、財政再建重視という従来のスタンスの変更を余儀なくさせた。
それは、かねて行き過ぎた緊縮財政の危険性と、成長重視の必要性を訴えてきた多くのエコノミストの主張にも沿っている。そして、財政政策で成長を図ってということは、お題目としては正しい。
しかし、どうすれば経済成長できるのかを分かった上での政策転換や議論なのだろうか。金融危機に対して無力だったエコノミストの主張を信じてもよいのだろうか。という疑問も湧く。財政による景気刺激は、景気の落ち込みを止めたかもしれない。
だが、その後の景気回復の持続にたいして力不足だったことは明らかだ。
前例の無い金融緩和も、一時的な株価回復と信用不安の緩和をもたらしたに過ぎない。労働市場の柔軟化など構造改革が、ドイツのように不況への抵抗力を強め、経済成長を促す可能性はある。ただ、効果が表れるまでには時間がかかる。
世界経済を見渡すと、まだ金融危機の後遺症がある。つまり、バランスシート調整の長期化や金融仲介機能の毀損(しそん)を通じて、従来の政策の有効性を低下させている可能性がある。さらに、財政再建の遅れが、金利や資産価格の変動など市場の不確実性を高め、景気に悪影響を及ぼす懸念もある。
お題目だけでは、経済は動かない。どうしたら経済が成長し、雇用が生まれるのかを改めて考え、答えを出す必要がある。12.5.26朝日新聞
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備考:財政再建、経済成長に金融緩和といった単一な方法でなく、複合的な対策の検討が世界規模で検討される必要がある。