散歩道<5014>

                         経済気象台(731)・競争地図の塗り替え

 世界の自動車の6割近くが中国やインド、ブラジルといった新興国で作られる時代になった。その結果、新興国に売上高10億j(約800億円)超の自動車部品メーカーが20社以上出現した。
 10億j(約800億円)超は部品メーカーとしては大きい方で、日本では大手70社がこれに該当する。10社に近い新興国の部品メーカーは世界の部品メーカートップにも名を連ねる。これまで先進国メーカーが新興国メーカーに比べて技術的な優位性を保持できたのは、売上高や研究開発投資費で勝っていたためだ。
 しかし、新興国メーカーは事業規模を拡大し、研究開発投資費で上澄みをめざすようになった。分野別に見ると、タイヤやホイル、自動車ガラスのほか、商用車エンジン、変速機、車体の内外装部品が多い。
 注目すべきもう一つの点は、2008年のリーマン・ショックから始まった世界経済の混乱の影響だ。
 経営難に直面した先進国のメーカーは「将来も収益改善が見込めない」と判断し、金属加工部品やゴム・樹脂成形部品、電装部品事業などから撤退した。その事業を、新興国のメーカーが買収して世界水準の技術や品質を獲得している。
 有名部品ブランドを傘下に入れた新興国メーカーは生産量も増加。勢いを駆って、積極的な買収戦略で事業拡大を目指すメーカーも現れた。
 先進国メーカーは、新興国の成長を取り込もうと、新興国の事業展開や現地パートナーとの連携強化を図る。だが、事業戦略を誤れば、逆に新興国メーカーの「買収ターゲット」になるリスクをはらむ。世界の自動車部品産業界の競争地図は大きく塗り替えられつつある。
12.5.11.朝日新聞

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備考:業界のトップを狙うことは不可能に近い、出来れば部門でオンリーワンを狙うべきである。