散歩道<5010>           

                           経済気象台(727)産業界としての行動を

 
先行きの見えない環境の下で経営者の苦労は尽きない。理不尽な円高に翻弄
ほんろうされる業績。電力の供給不安。党利党略を優先し国の財政悪化をもてあそぶ政治。個々の企業の経営努力だけではいかんともしがたい。かかる状況にあっては産業界としてのまとまった行動が必要だと考える。
 一つは、政治に対して物申すことである。この国難ともいうべき事態を国を挙げて行動せよと。国民に選ばれ、税金をはんでいる政治家なら、自分や身内よりも国のことを真剣に考えるべきである。産業界は政治によるよる報復を恐れてはならない。メディアをもっと活用したらよい。
 もう一つは経営者が腹を決めて行動することである。東日本大震災の余波に加え、異常な円高という今の状況下で、企業は大きな利益や全事業の黒字などをもとめなくてもい

 
こういうときこそ「お客様と従業員を大切にする」と業界ごとに世の中に宣言したらどうか。株価よりも大事なものがあると。そして業界としてお客様と一緒に知恵を絞り、次の手を考えるのである。
 今更いうべきでもないが、わが国の力の源泉は国民の持つ勤勉さと誠実さ、どんな場面でもあきらめない粘り強さ、そして連帯してことに当る力、人を信ずる心である。その国民性は大震災の後、世界中から注目され、称賛をあびた。はやぶさの帰還やスカイツリーなども日本人ならではの関係者の連帯による快挙である。だが最近はどの業界にあっても自分さえ良ければいいとう企業の姿勢が目立つ。それがわが国の弱体化にもつながっているように思う。
 産業界において、日本、日本人らしさをもっと大事にしたい。力を合わせて前にすすむのである。
'12.5.31.朝日新聞

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備考:明治初期、日本が強国になった背景に、長州藩、薩摩藩が中心になって作った政府が、特定の企業の応援を強力に押し進めたからである。そのような目配りを超厳しい時代には、政府は全企業にも配慮いただきたい。