散歩道<5011>

                         経済気象台(728)官民もたれ合いの常態化

 新聞の見出しを眺めていて、企業の再生や再編に対する政府の支援が増えていることに気が付いた。最近では、産業革新機構の出資による各社液晶パネル事業の統合や、中小企業再生のための官民ファンド設立などが挙げられる。
 急激な景気悪化への対策や、海外投資・貿易リスクを軽減する公的保険などは政府にしかできない支援だ。しかし、最近は、それを超えて、本来、市場メカニズムを通じて調整されるべき問題に対しても、政府の関与が強まっている。民間もまた政府の支援を当てにする状況が生まれている感じる。
 政府が大企業の事業再編を支援したり、中小企業の金融支援を長い間続けたりすることは、自力で経営改革を進めている企業と不公平になる。さらに、競争力を失った企業の市場からの退出と潜在力を持つ企業の参入という、経済の活力を保つ上で不可欠な新陳代謝を遅らせる。
 そもそも、政府支援で企業はどれだけ競争力を取り戻しているのだろうか。公的資金を受け入れた半導体企業は、結局経営破綻
(はたん)した。調整の遅れが過当競争を招き、企業に低収益を強いているという指摘もある。
 民間サイドにも、減税や補助金、金融面など政府支援への期待がうかがえる。そのような官民のもたれあいとその常態化こそが、日本経済の活力を失わせてきたのではないか。
 大企業の経営者が政府に成長戦略を声高に求めているのをみると、本当にガッカリする。企業、個人、投資家、金融機関それぞれが、リスクをとって技術革新や新しい事業にチャレンジすることでしか経済は発展しないという歴史的事実を日本は忘れてしまったのだろうか。
12.5.3.朝日新聞

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備考:多くの中小企業から受ける印象は、どんなに市場状況が変化しようと、必死になって知恵を出して生き抜いていこうという前向きの姿勢だ、しかし、生き詰まった時には是非救助の手を差し伸べて頂きたい。'17.4.