散歩道<5009> 
                        経済気象台(726)・年金基金の闇

 顧客の預り資金の大半を消失したAIJ投資顧問の問題は、投資顧問業界の不透明さと共に、国内の年金基金が直面する問題を浮上させた。
 多くの企業では、企業年金を社員の福祉厚生の一環として導入した経緯から、永らく資金運用と無縁の人事部門が担当してきた。高度経済成長期のインフレにも助けられ、運用に特に問題は生じてこななかった。
 だが、バブル崩壊がこのパラダイムを逆回転させ始めた。資金の運用損や積み立て不足が企業業績に直結することが経営者にも認識されるようになった。多くの大企業では次第に財務部門を関与させるようになってきた。
 ところが、人材や金銭面でも余裕のない中小企業は、総合型年金基金制度に加入し、厚生労働者任せのまま、パラダイムシフトすることはなかった。
 そしてAIJの問題は、厚労省がつくってきたこの仕組みに、二つの大きな欠陥があることを明かにした。
 一つは、運用能力の全くない旧社会保険庁の職員が基金に天下りし続けていることである。もう一つは、「連帯責任」の制度で、同業者の倒産によって競争力が向上するどころか、他社の年金債務まで負担しなければならないということだ。
 総合型年金基金の運営責任者である理事長や常務理事は、その責任ゆえに高給をはらってきたはずで、みずからの財産をはたいても責任をはたすべきである。
 とりわえ、本業である国民年金業務すらまともに遂行できなかった旧社保職員が、畑違いの資産運用の責任者となっていることは、国民にとっては二次災害に等しい。国民やメディアも彼等の行動と責任のとり方を注視するべきだ
'12.4.27.朝日新聞     '17.10.9.

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備考:金融の問題には常時どんな動きにも、目をかけていることが必要である。プロ中のプロがその任にあたるべきである。