散歩道<5004>
 
                              経済気象台(721)わたし祈ってます

 消費増税法案が国会に提出された。
 「社会保障と税の一体改革」と銘打ちながらも、社会保障のあるべき姿はあきらかになっていない。のみならず、社会保障を賄う歳入の柱たる税制のあり方についても十分な検討が行われたとは思えない。とりあえずの策として消費増税の方針が打ち出されただけで、その中身たるやずさんで、まともな議論には耐えられないレベルだ。
 しかし、これだけ大きな政治問題となり、内外の注目を集めている以上、ここで消費税率の引き上げすらできないと、日本財政に対する悲観的見通しが内外の市場で一挙に強まり、日本国債の信認が危うくなろう。
 そうなると投機筋に足元を見られ、国債価格は下落し、格付けも引き下げられる。結果的に、日本企業の資金調達コストが上昇する。こうした負の連鎖を考えると、いまさら消費税はやめたというわけにはいくまい。
 本質的な議論がされないまま、粗っぽい議論だけで増税してよいのかという悔恨の念は残る。
 だが、本当の意味での社会保障と税の一体改革についての政府案を提示し、国民的議論に付すことを条件に、ここはいったん増税を認める道以外に選択肢はなさそうである。
 今、政府が本当の議論を尽くさなかったら、「社会保障と税の一体改革」は自公政権時代の「百年安心の年金改革」と同様、羊頭狗肉
(ようとうくにく)の典型例として歴史に名を残すことになろう。
現在の政治の動きを見ていると、石油危機から日本経済が回復しつつあった1975年のヒット曲で、「幸せになってね。わたし祈ってます」というフレーズを思い出す。
 最後は、神頼みにならざるを得ないのかも知れない。
'12.4.13.朝日新聞

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備考:
将来100年の計を思いめぐらす政策については世の中の厳しさがどれ程でもやり通すことである。'17.4