散歩道<5003>
経済気象台(720)・増税即景気悪化ではない
「増税即ち景気悪化」という反応に対し、筆者は常々、「パブロフの犬並みの反応」と言ってきた。閣議決定を機に改めて、増税が必ずしも景気の悪化に結びつくものではないことを訴えたい。
確かに、消費税などの間接税なら価格効果、所得税なら所得効果によって需要は減少するというのは経済学の基礎的な知識の一つかも知れない。しかし、税による歳入増分が、その同額だけ政府の支出に回るのなら、マクロとしての需要の増減はない。つまり景気には中立とみるべきだ。
タイミングの問題は確かにある。しかし、それは歳出の仕方でいかようにでも解決できる。政府支出を時宜を得てうまく使えば、むしろ経済にプラスになろう。
今回の増税の最大のポイントは国家財政の金融危機への波及を事前に封じこめるという点である。仮に金融危機が現実化すれば、日本経済に致命傷となるだろう。一定の確率で金融危機に陥る可能性があるという点では、可能性がゼロでない以上は万全な対策が求められる津波や原発事故と類似する部分もある。多くの政治家が防災には熱心な発言を繰り返しながら、金融危機に楽観的である神経は普通ではない。
野田首相の政治生命をかけ、信念を持って政策を実行する姿勢をよしとしたい。だが、このような論理を国民に対して分かりやすく説明したかと言えば残念ながら決して十分ではない。
政治家だけではない。経済学者もこのような論理の妥当性をあるいは非妥当性について発言すべきだが、全く存在感がない。多くの経済学者が賛否両論を戦わす健全な経済論壇を再構築することが求められている。'12.4.5.朝日新聞 '17.10.9.
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備考:増税が社会保障費に回されたり、子供の教育無償化に向けられるなら、国民は財布のひもを締めたりはしない、将来不安があるからその備えとしてどうしても何らかの金が必要と考えているので消費に回せないのである。