散歩道<5002>
経済気象台<719>・円高とデフレからの脱却
異様な円高の原因は、2008年のリーマン・ショックに端を発する海外要因・足元では特に欧州の経済危機である。多種是正されたが、まだ円は高すぎる。米国でサプライム問題が表面化する前は1j=110〜120円、1ユーロ=160円前後であった。海外の経済が正常化に向えば、もう一段の円安は必然と思われる。
だが、今回の円高修正の背景には、この欧州不安の後退だけではなく、脱デフレに向けて金融政策を進める日銀の強い意思表明と、わが国の過去最大となる貿易赤字があるようだ。
実は、円高がデフレを呼び、そのデフレがまた円高を招くのである。この円高とデフレが共鳴しながらわが国を厳しく難しい状態に追い込んできた。工場が閉鎖されて雇用が失われ、地方経済は疲弊した。賃金は引き下げられ、消費も投資も低迷が続く、税収は減り、国の財政は悪化の一途。それがわが国である。それぞれも問題が相互に影響を与え、悪循環を繰り返しながら、国全体が収縮の道を辿っている。
もし、円高とデフレが今、是正されるなら、その循環の輪がまき戻され多くの課題に光が差してくるだろう。それを一国民として切望している。だが、円安となってコスト競争力が回復すれば、勤勉な国民はまた輸出に力を入れる。そうなると貿易収支は黒字になり、またもや円高に向う。働くほどに円高になって己を苦しめ、国の将来を暗くするというのが、わが国の通ってきた道だ。このジレンマから解き放たれることは可能なのだろうか。いや、まずは為替がどこまで戻るかである。そしてデフレから脱却できるのか。わが国の正念場である。
'12.3.28.朝日新聞
散歩道<検>経済気象台、<検>政治、<検>言葉・リーマン・ショック、<検>外国、<検>社説、
備考:為替、円高、正しく運営されるなら日本国民は決してへこたれないだろう。